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| ホーム > 理事長からのご挨拶 | ||||||||||
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| 田口 智章(九州大学大学院医学研究院小児外科 教授) | ||
平成23年7月22日に東京で開催されました日本小児外科学会理事会におきまして理事長に選出されました九州大学小児外科の田口智章です。新任の4人の理事を加えた8名の理事(田口、仁尾、濱田、韮澤、前田、北川、窪田正、松藤)、会長(上野)、副会長(岩中)、3名の監事(窪田昭、土岐、橋本)の理事会メンバーで、これから2年間日本小児外科学会(以下、本学会)の運営を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。以下項目別に抱負を述べ、ご挨拶に代えます。 1)日本小児外科学会50年を振り返って。 本学会は2年後に50周年を迎えます。諸先輩が戦後の混乱のなかにも小児外科医療の必要性を説き、小児外科というきらりと光る一輪の花を咲かせ、新しい分野を開拓して50年の歴史を刻んできました。この間、新生児外科を例にあげますと、当時死亡率が50%以上であったのが現在10%以下と、生存するのが当たり前になっています。このデータは日本小児外科学会が5年に1度実施している新生児外科統計がクリアカットに示しています。また小児がんの領域でも私が研修医の頃、手術してもほぼ全滅だった肝芽腫が、手術手技や肝移植や化学療法の進歩で80%以上が生存できるようになりました。小児がんの統計も悪性腫瘍委員会が小児外科の手術が関わる症例の登録のみならず5年後の追跡調査まで行っています。現在、本邦でいくつか小児がん登録事業が走っていますがフォローアップまできちんと行っているのは本学会の登録事業だけです。また他の学会に先んじて認定医制度を立ち上げ、現在はどの学会でも盛んに施行されている専門医制度の先駆けとなっています。これら日本小児外科学会の輝かしい歴史と業績を振り返り50周年記念事業を実施したいと考えています。 2)手術を必要とするこどもたちのために 小児外科は小児の一般外科で、脳や心臓などを除くすべての臓器の手術を担当しています。新生児の異常である腸閉鎖や鎖肛や肺嚢胞などからはじまり乳児の鼠径ヘルニア(脱腸)、停留精巣、陰嚢水腫、腸重積、胆道閉鎖・拡張症、外科的便秘、さらに幼児から学童の虫垂炎(もうちょう)、漏斗胸、小児がん、小児肝移植や小腸移植、さらに小児の水腎症や膀胱尿管逆流症などの泌尿器疾患や肺・気管支疾患など多岐におよんでいます。対象とする年齢は生まれてすぐの新生児から思春期の18歳くらいまで幅広くなります。こどもの手術は小児外科専門医によって行われるべきですが、まだ小児外科医以外の医師による手術が行われている場合があり、医療事故や医療訴訟となっているケースもあります。 本学会としては小児外科の教育と修練を積んだ小児外科専門医の手によってこどもの手術が適切に行われるように、全国の手術登録を行うNCDのデータと本学会が有するデータを照合することにより、手術を必要とするこどもたちが小児外科専門医の手で適切に手術されているか否かをチェックできることになります。そこでこの事業を本学会とNCDと共同で進め、小児外科医の適正配置を厚労省に提言したいと考えています。 3)小児外科専門医育成と卒前教育 小児外科専門医の数は、二次医療圏に小児外科救急や日常疾患に対応するのに最低2名、小児外科医15名有するハイボリュームセンターは全国15か所必要ですので、専門医は全国で800名は必要ですが現在わずかに500名しかいません。小児外科専門医育成が急務ですがそのためには医学生の卒前卒後教育において小児外科に触れる機会をつくることが重要と思われます。全国の医育機関のうち小児外科学講座があるのは約30%程度で、あとの医育機関では小児外科の講義や実習が十分に行われていないため医学生が小児外科を認識する機会が限られています。これが小児外科を志す若手医師が少ない原因と考えられます。学会として小児外科の認知度を上げる努力とともに卒前教育の標準化を提言していきたいと思います。 4)小児外科学会専門医のありかた 小児外科専門医は基本領域を外科専門医と定め2階建として進めております。小児外科専門医を更新すれば外科専門医を自動的に更新できるというprincipleで整備してまいりました。小児外科の手術手技の進歩という点からは外科学会は最も重要な学会です。しかし小児外科に患者さんを供給するのは小児科と産科であり、横断的学会である日本周産期・新生児医学会、日本小児がん学会、小児救急学会、小児栄養消化器肝臓学会などに小児外科医が積極的に参画し、大いに共存共栄していくことが重要と考えます。幸い、これらの学会には本学会の会員が理事などの役員として参加していますので理事会や委員会への参画で関係濃厚化を図り、小児外科医の技量をアピールし、色々な分野の病気をもつこどものために役立てればと思います。またこれらの学会との交流から小児救急や新生児の分野などもカバーできるようなグローバルな小児外科医の育成も考慮すべきではないかと考えています。 5)国際交流と国際貢献 現在、発展途上国では医療の恩恵をうけられず命を落としているこどもたちがたくさんいます。日本では救命できるのが当り前な病気なのに発展途上国では致死的になっているというお話をよく耳にします。本学会の会員の中にも発展途上国に自分から出向いて活動されている先生方がいます。現在、本学会ではトラベルグラントを設定し、発展途上国の小児外科医に本学会学術集会に招待し勉強の機会を設けています。今後、海外支援の経験豊富な先生方やNPO団体を通じて本学会としてなにができるか模索してみたいと思います。また現地の医師のみならずコメディカルの教育も含めた貢献ができればいいと思っています。 わたしは小児外科を志して本当によかったと思っています。小児外科医は比較的地味ですがこどもに優しく粘り強い人物が多いと思います。学会がアットホームなのも好感が持てます。最近この雰囲気が好きで門をたたく若い医師が増えています。みんなで日本のこどもたちがもっともっとよい医療を受けられるように本学会を盛り上げていきましょう。ご協力よろしくお願いします。 |
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