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留学体験記  大矢知 昇

05.jpg 2000年8月よりUniversity of California, Los Angeles(UCLA)のJames B. Atkinson先生にお世話になりながら研究を行っています.留学前にはAtkinson先生より創傷治癒の研究をするよう言われていましたが,こちらでお会いしてみると,UCLAから車で約一時間南下した所にあるHarbor-UCLA Medical CenterのMichael G. Ross先生(Maternal Fetal Medicine)の胎児腸管運動のプロジェクトに加わるよう言われました.

UCLAは歴史の重みを感じる建築物や庭園が多い一方で,周囲のWest Woodと呼ばれる地域は非常にモダンなSexyな街に位置しており,アパート代はかかるけれど,ここで過ごしせたら最高だなとウキウキしていたところの話しでしたので,当時は多大なショックを受けました.Harbor-UCLAでRoss先生は主に,羊水産生の調節に関心があり,具体的な研究は,胎児の羊水のSwallowingと胎便のDefecation (GI-motility) の解析を進めています.GIのプロジェクトはAtkinson先生と一緒に進めており,私もこのプロジェクトに参加することになりました.しかし,これは彼が新しく始めたプロジェクトで,以前に短期間,他のドクターが携わっていましたが,すでに離れられた後でしたので,再度,プロジェクトを計画するよう言われました.
はっきり申しますと渡米した当初の私にとっては無茶苦茶な話で,この人は私の英語力がどんなものか認識しているのか不思議に感じていましたが,一緒に働くことになったコロンビアから来た産婦人科のAcosta君となんとかプロジェクトをまとめ,これで小額ながらもグラントの確保ができ研究費さらには私の給料も確保できるようになりました.彼は,母国でレジデント,さらにプエルトリコに渡り臨床経験を積んだ後に,こちらにこられ年齢は私より,3つ離れていますが,いい友達です.最初の数ヶ月は実験というよりは,このための資料づくりが主でしたが,この時期にGI motilityの発達の文献を集中的に読めたことで英語力も伸びたような気がしています.具体的な研究内容は画面の都合もあり割愛いたしますが,in vivoの研究は羊の胎児手術を行い腸管に圧トランスデューサーと逢着後子宮に戻し,運動の解析を行いました.In vitroでは各試薬に対する腸管壁サンプルの収縮反応を胎児期,新生児期ノと対比しながら観察しております.さらに,一年前より新しく加わって頂いているLakshmanan先生(PhDでインド出身の先生でGrowth Factorの研究をされてきた先生です)にいろいろ教わりながら,分子生物的な手法も勉強させてもらっています.
Harbor- UCLAはロサンゼルス郡のTorrance市にあり,敷地は広く,病院自体は建て直されたものですが,周囲は戦前からの木造平屋の建物が立ち並び,昔のアメリカの“ラボ”の雰囲気をかもし出しています.ラボは国際色豊かですが予想以上に互いに助け合っている気がいたします.さらに,Torrance市にはたくさんの日本の駐在員や学生の方が住んでいらっしゃり,スーパーでも日本食も充実しており便利で暮らしやすい所です.
最後に,まだまだ研究を始めて間もなく未熟ではありますが,この分野を勉強して皆様のご鞭撻の下,小児外科疾患の病態解明に寄与したいと考えております.
大矢知 昇

1961年 山梨医科大学(現山梨大学医学部)卒業後,同第2外科学教室に入局
初期研修後
2000年 よりUCLA Pediatric SurgeryおよびHarbor-UCLA Department of OB/GYNで基礎研究に従事
2003年4月 より神奈川医療センターにて小児外科研修予定