消化管穿孔

 食べたものが消化吸収されながら運ばれてゆく経路,即ち食道・胃・十二指腸・小腸(空腸・回腸とに区別),大腸(結 腸・直腸)の全てをまとめて消化管という表現を使います.消化管穿孔とは,これら消化管のどこかで,腸管の壁に穴が開いて(破れたり,裂けたりする場合も あります),消化液や食物・便などが消化管の外へ漏れ出している状態を指しています.
 小児外科の病気は,年齢層ごとに罹りやすい病気が異なっていて,消化管穿孔は生後1ヶ月以内の赤ちゃん(新生児)によく発生します.以前は胃に発生するこ とが多かったのですが,最近は小腸に発生する場合が増えています.低出生体重児では,重篤な腸炎(壊死性腸炎)に伴って発生する場合と,生後数日目に突然 発生する二種類の場合があります.新生児は,いわゆる“抵抗力”が弱いために一旦消化管穿孔が起きると,救命のためには早期の外科治療が必要です.
 症状は,まず赤ちゃんの元気がなくなって,ミルクを飲めなくなったり吐くようになったりします.徐々にお腹が膨れ,硬くなってきます.腹壁を通して黒っぽ い色(漏れ出した便の色)が透けて見えたり,男児では陰嚢が大きく赤黒く腫れてくることもあります(図).レントゲンでは,本来ガスがないはずの部分(胃 や腸の外)にガスがたまっている所見がみられます.
 消化管穿孔と診断がついたら,なんらかの手術が必要になります.赤ちゃんの状態によって直ちに開腹手術を行うか,一旦お腹に小さな切開を開け,管を入れて 漏れたガスや腸液などを外に出して,お腹の張りをとる処置を優先するかを判断します.手術は,消化管穿孔の部位によって方法が異なります.腸に病変がある ときには,破れた腸の部分を持ち上げて一時的に人工肛門にした上で,ドレナージといってお腹の中に漏れ出たものを導き出すように,複数の管を入れる術式が とられることが多いのです.近年の小児外科医療の進歩によって救命率は改善してきていましたが,最近は低出生体重児の増加が原因で,むしろ死亡率が増加し ている疾患です.

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