急性虫垂炎

大腸の一番口側にある盲腸の先についている 虫垂突起 に化膿(かのう)が起こった状態で,いわゆる「盲腸」としてよく知られている病気です.2,3歳ごろから見られるようになり,小・中学生に多い病気です. この病気は右下腹の痛みが起きることでよく知られていますが,初めからそうなる訳ではありません.最初は虫垂突起の根元に便の塊などが詰まって虫垂の中の 圧が上がります.この時期には,おへそやみぞおちのあたりが痛みます.小さなこどもでは機嫌が悪くなる,食欲が落ちるといった症状になります.食べたもの や胃液を吐く(嘔吐,おうと)こともあります.

虫垂に化膿が始まると痛みは右下腹に移ってきます.この時期には発熱もあり,高学年のこどもなら右下腹の痛みを訴えます.小さなこどもは,元気がない,機 嫌が悪い,ぐずつくなど,はっきりした症状にならないことが多いようです.この時期に手術をすれば一週間程度の入院ですみます.最近行われはじめた内視鏡 を使った手術(腹腔鏡下手術)なら入院期間はさらに短くなります.

さらに化膿が進むと虫垂の周りに膿(うみ)の塊ができたり,お腹の中に膿が広がったりします( 汎発性腹膜炎 ).こうなると高熱が出,お腹が張ってきたり,お腹を軽く触るだけでひどく痛がったりします.足を縮め,背中を丸めて横向きに寝ることが多く,歩くときも 背中を丸め前かがみの姿勢になります.ここまで病気が進行すれば,膿をお腹の外に出すために数日間管を入れておかなければなりません.大量の 生理食塩水 でお腹の中を洗って,膿を出すための管を入れない方法をとる施設もありますが,いずれにしても手術創が化膿することもあり,入院は長くなります.

小さいこどもでは正確に病状を言うことができないために発見と診断が難しく腹膜炎を起こしてから手術になることが大人より多くなります.また,よく肥って 皮下脂肪の多いこどもでは傷やお腹の中の化膿が起こりやすくなります.このようなときはどうしても入院期間は長くなり,手術後何ヵ月もたってから再び傷が 化膿してなかなか治らないということになることもあります.

小さいこどもがお腹を痛がるのはよくあることですが,お腹をなでてやって気持ちが良ければ虫垂炎ではないか,虫垂炎でもかなり初期の段階です.進行した虫垂炎ではお腹を触ることをいやがります.