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腸回転異常症

 小腸の長さは新生児で1.5~2m,成人で4~6mあります.この長い腸管がお腹の中にうまく納まるために,腸管の発 生過程で回転と固定という現象が起こります.胎生8週頃に小腸と大腸の一部は一度臍帯内に脱出し,臍帯内で成長し胎生12週までにお腹の中に戻ってきま す.この戻る過程で,十二指腸はいちばん背中側(深いところ)を体の右から左に走るようになり,逆に大腸はむしろお腹の浅いところで左から右に大きな円を 描くように回ります.そして,その間の小腸は左上から右下(斜め方向)に走る形におさまり,長い小腸があたかもカーテンレイルに固定されたような安定した 形をとります(図).一方,腸管の回転と固定が障害されると,いろんないびつな形で腸管が固定されますが,扇を広げたように小腸と大腸の一部が根元で収束 する形が最も多いタイプです(図).このタイプでは,突然扇の要の部分で腸が捻転して,腸管の血行が悪くなる病気(中腸軸捻転)が発生します.放置する と,小腸と大腸の一部が壊死(死んでしまう)をおこし,手術をしても残った腸が短くなり,消化吸収に障害がでる短小腸という重篤な状態になります. 腸回転異常症では,生後1か月以内に約80%の患者さんで中腸軸捻転による症状がでます.急にミルクが飲めなくなったり,激しく吐いたりする症状で始ま り,さらに進むとお腹が張ってきたり,腸管の血行が悪くなって血便が出ることもあります.症状が急激で,赤ちゃんがぐったりするような場合は,緊急手術が 必要なことがあります.緊急でない場合は,消化管透視(造影検査)などをして診断を確実にしたうえで開腹手術を行います. 一方,赤ちゃんの間はなんともなく,年長児になって腹痛や間欠的な嘔吐の症状ではじめて診断されることも,時にみられます.この場合にも,消化管透視や腹 部超音波検査,腹部CTなどを行って確定診断されれば,開腹手術が行われます.

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