日本小児外科学会
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新生児外科の推移

 日本小児外科学会が行っている赤ちゃんの手術(新生児外科)の統計の推移
 日本小児外科学会が5年ごとに行っている全国の赤ちゃんの手術(新生児外科)数アンケート調査は2008年(平成20年)度で第10回目になります.全国の大学病院,小児病院,小児外科のある一般病院,外科・小児科・産婦人科のあるベット数200以上の病院を対象に,外科・小児外科・胸部外科・泌尿器科など専門分野別にアンケートを発送し,生後1ヶ月未満の新生児の手術例数,病気の種類,その治療成績などの調査を行っています.

赤ちゃん(新生児)の手術数の変化

 最初に調査を行った1964年には662例だった赤ちゃん(新生児)の手術数は2008年度には3517例と2003年度からは減少していますが依然として高水準にあります.出生数は1973年を境に以後,毎年減少傾向にあることを考えますと出生数が減少しているのにもかかわらず赤ちゃんの外科治療が増えており,小児外科治療が進歩し普及している結果と考えられます.

病気の種類

一般小児外科の病気
患者さんの多い順に,直腸肛門奇形(鎖肛),腸閉鎖・狭窄症,先天性横隔膜ヘルニア,先天性食道閉鎖症,消化管穿孔,ヒルシュスプルング病,幽門狭窄症などが並びます.今回初めてこの頻度に変化が見られました.
心臓血管の病気
動脈管開存症,大血管転位症,大動脈縮窄症,総肺静脈環流異常症などの順です.
泌尿器の病気
水腎症,総排泄腔外反症,多嚢胞性異形性腎,水尿管症などです.

赤ちゃんの手術(新生児外科)例の死亡率の変化

 生まれたばかりの新生児で外科手術を受けた赤ちゃんの死亡率は,1968年度の32%から5年おきの調査ごとに低下し,2008年度には7.5%にまで減少しました.これは新生児外科の手術が安全に行えるようになってきていることを示していると思います.手術を受けられたすべての赤ちゃんが元気になられることをめざして今後も努力を続けていきます.

未熟児(低出生体重児)の割合と死亡率の変化

 出生時の体重が充分な成熟児の手術成績は極めて良好になってきていますが,生まれたときの体重が2.5kg以下の未熟児(低出生体重児)の手術成績は現在でも必ずしも満足のできるものではありません.しかし1973年度は全手術例の19%が未熟児(低出生体重児)でそのうち51%と半数以上の赤ちゃんが死亡していましたが,2008年度の調査では未熟児(低出生体重児)の割合は37%に増えているにもかかわらず、死亡率は減少を続け7.5%にまで減少しています.着実に手術の成績が向上しているのがおわかりになっていただけると思います.

出生前診断

 お母さんは妊娠中に何回か超音波検査を受けます.この超音波検査によって,生まれる前に病気を診断できることがあり,これを出生前診断といいます.2008年度では3517人中,1159人(33%)の赤ちゃんが出生前診断を受けていました.出生前診断を受けた赤ちゃんでは,生まれる前に赤ちゃんの手術ができる施設にお母さんが転院されたり,出生時に小児外科医が立ち会うことができます.出生前診断されますと,赤ちゃんを出生直後から治療を開始することができ,治療成績が向上します.しかし極めて重症な赤ちゃんでは,出生前診断を受けてもその後の治療が困難なこともあります.

まとめ

  1964年から始まった5年ごとの赤ちゃんの手術に関する調査からいろいろなことがわかりました.日本の人口は少しずつ増加しているのに出生数が1973年を境に減少傾向にあること,それにもかかわらずあかちゃんの手術数,なかでも生まれた時の体重が2500g以下の未熟児の手術が増加していることです.生まれたばかりの赤ちゃんを手術する訳ですから,大人とは違った治療方法が必要です.1968年には手術後の死亡率は32%でした.しかしこの間の小児外科の進歩は著しく,2008年には7.5%にまで低下しています.小児外科医は未熟児(低出生体重児)に対して安全に手術を行うようにすることや,また出生前に超音波で診断された最も重症な赤ちゃんを助けるために一層の努力が必要と考えています.
 
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