2005年2月、そけいヘルニアの手術を受けた1歳の幼児が誤って膀胱の大半を切除されたという報道がありました。この医療過誤について今後同じようなことが発生しないよう、日本小児外科学会として声明を出すものであります。そけいヘルニアの手術は、簡単であると理解されがちでありますが、新生児、乳児、幼児や、かんとんを繰り返した事がある時、巨大なそけいヘルニアでは年長児でも手術の難しいことがあり、決して簡単な手術ではありません。特に新生児、乳児ではすべての組織が薄く弱いという特徴を持っていますので、小児外科専門医でもときに手術困難なことがあります。新聞記事などには「膀胱には筋肉があるなど、専門家にはヘルニア嚢とすぐ判別ができる」と書いてありましたが、乳児・幼児では膀胱自体も薄くなり、見分けがつきにくいこともあります。しかし、小児の臓器がもろく弱いことをよく知っている、経験を積んだ小児外科専門医であれば、膀胱を引き出した際に区別が出来ますし、万が一、切開をしたとしてもその時点で気づき大事には至りません。この患者さんは幸い、再建手術を専門施設で受け、膀胱の機能には問題ない状態まで回復されております。 「そけいヘルニア」は比較的簡単な手術でなおる病気と思われがちですが、一つ間違うとこのような重大な結果になります。こどもの手術は小児を専門的に診療している診療科で行われるべきであると考えます。 小児外科施設が身近に何処にでもあるわけではありませんが、小児外科学会としては各県に小児外科の専門医を配置するべく努力をしております。まだ、小児外科専門医が配置出来ていない県もあり、そのような場合、成人外科の先生にお世話にならざるをえませんが、少し離れていても小児外科専門医がいる病院があればそこでの診察・治療をお勧めいたします。小児外科専門医のいる病院は本学会のホームページから探すことが出来ます。 |